既に5台のGarminデバイス購入歴のある私ですが
自分の運動記録のみならず、健康状態まで表示してくれるGPS搭載スマートウォッチ。私のGarmin歴は VÍVOACTIVE J HR→ForeAthlete 245 Music→ForeAthlete 745→Forerunner 955 Dual Power→Forerunner 965とステップアップしてきました。
2024年2月29日(木)、新たに「Forerunner 165」および「Forerunner 165 Music」が投入されるということで、従来シリーズと果たして何が違うのか?私なりに調べてみることにしました。

現在メインで使っているGarmin Forerunner 965 購入の記事はこちら
従来のGarmin Forerunner シリーズとの違い
Forerunner 965と265と165の機能を一覧表で比較
今回発売されるのは、Forerunner シリーズのエントリーモデルなので、当然従来モデルの機能限定版となります。ここでは、私が使用上重視している仕様・機能面について一覧表で比較します。「Forerunner 165」シリーズは、音楽機能を搭載した「Forerunner 165 Music」と音楽機能を搭載しない「Forerunner 165」が発売されますが、なるべく条件を同じようにするため、「Forerunner 165 Music」で比較します。あと、少し前に発売された同価格帯の「Venu 3」も参考に掲載します。

本体仕様
本体仕様で比べた場合、ほとんど価格設定で本体仕様が差別化されているのが分かります。RUN用途ではありませんが、普段使いでは割安感のある「Venu 3」より16,000円も安く価格設定(Venu 3には画面サイズが小さいVenu 3Sがありますが、両者とも価格はほとんど変わりません)してきたのは、かなり戦略的だと思います。
私としては、本体仕様で考慮すべきは画面サイズです。いずれの機種も、有機ELのAMOLEDディスプレイを採用しているので画面の発色などの視認性に違いはありませんが、スマートウォッチの場合、時計以外にスマホから色々な通知を表示させることになります。メールなどのテキスト通知は、画面が大きい(=解像度が高い)ほど1画面での情報量が多くなるので、把握しやすくなります。この点ではやはり「Forerunner 965」と「Venu 3」が有利です。
また、「Forerunner 165」は、Musicモデルでも本体の内蔵メモリの容量が4GBに抑えられています。たくさんの曲をダウンロードしてワークアウト中に音楽を聴き続けたいというのであれば、考慮が必要な点になります。
なお、「Forerunner 165 Music」のレンズ素材が化学強化ガラスと表記されていますが、「ゴリラガラス」も化学強化ガラスの一種です。つまり、コーニング社以外の化学強化ガラスを採用したため、商標としての「ゴリラガラス」という表記が使えないのだと思われます。これは価格を抑えるために従来モデルと仕様を変更したのかもしれません。
Forerunner 165 Music | Forerunner 265 | Forerunner 965 | Venu 3 | |
価格(定価) | 44,800円 | 62,800円 | 84,800円 | 60,800円 |
レンズ素材 | 化学強化ガラス | Corning Gorilla Glass 3 | Corning Gorilla Glass DX | Corning Gorilla Glass 3 |
ベゼル素材 | FRP | FRP | チタン | ステンレススチール |
ストラップ素材 | シリコン | シリコン | シリコン | シリコン |
サイズ | 43 x 43 x 11.6 mm | 46.1 x 46.1 x 12.9 mm | 47.2 x 47.2 x 13.2 mm | 45x 45x 12mm |
タッチスクリーン | ○ | ○ | ○ | ○ |
ディスプレイサイズ | 直径1.2インチ (30.4 mm) | 直径1.3インチ (32.5 mm) | 直径1.4インチ (35.4 mm) | 直径1.4インチ (35.4 mm) |
解像度 | 390 x 390 ピクセル | 416 x 416 ピクセル | 454 x 454 ピクセル | 454 x 454 ピクセル |
ディスプレイタイプ | AMOLED | AMOLED | AMOLED | AMOLED |
重量 | 39g | 47g | 53 g | 30 g (標準付属バンド込み:47 g) |
稼働時間 | スマートウォッチモード: 約 11 日間 バッテリー節約スマートウォッチモード: 約 20 日間 GPSモード: 約 19 時間 マルチGNSSモード: 約 17 時間 GPS+音楽再生モード: 約 7 時間 マルチGNSS+音楽再生モード: 約 6.5 時間 | スマートウォッチモード: 約 13 日間 GPSモード: 約 20 時間 | スマートウォッチモード: 約 23 日間 GPSモード: 約 31 時間 | スマートウォッチモード: 約 14 日間 バッテリー節約スマートウォッチモード: 約 26 日間 GPSモード: 約 26 時間 マルチGNSSモード: 約 20 時間 マルチGNSS+音楽再生モード: 約 11 時間 |
防水等級 | 5 ATM | 5 ATM | 5 ATM | 5 ATM |
内蔵メモリ | 4 GB | 8 GB | 32 GB | 8 GB |
センサー仕様
これは、ランニングやウォーキングなど屋外でワークアウトをするのであれば特に重視すべき点です。
今回の比較機種ではいずれもマルチバンドに対応するので、測定精度に差はありませんが、「Forerunner 165 Music」と「Vnenu 3」はSatIQに対応しません。SatIQとは、高い建物の近くや森の中などでは測位精度の高いマルチバンドを有効にし、開けた場所などでは低消費電力のGPSモードに切り替え、バッテリー消費を抑える機能であり、稼働時間に差が出る可能性があります。もし充電がしやすい環境にあるなら、必須機能とまではいえないかもしれませんが、もし長時間GPS計測が必要な大会に出ることを考えているなら、重視が必要です。
また、トレイルランや登山もするのであれば、地図機能は「Forerunner 965」にしか搭載されていません。地図機能は、もちろんマラソン大会やジョギングでも使用できますが、決められたコースを走るとか知っている道を走る場合、正直使う必要はあまりありません。
Forerunner 165 Music | Forerunner 265 | Forerunner 965 | Venu 3 | |
GPS | ○ | ○ | ○ | ○ |
GLONASS | ○ | ○ | ○ | ○ |
Galileo | ○ | ○ | ○ | ○ |
みちびき(補完信号) | ○ | ○ | ○ | ○ |
GNSSマルチバンド | ○ | ○ | ○ | ○ |
SatIQ(衛星自動選択モード)機能 | ー | ○ | ○ | ー |
Garmin Elevateリスト型心拍計 | ○ | ○ | ○ | ○ |
気圧高度計 | ○ | ○ | ○ | ○ |
コンパス | ○ | ○ | ○ | ○ |
ジャイロセンサー | ○ | ○ | ○ | ○ |
加速度計 | ○ | ○ | ○ | ○ |
温度計 | ○ | ○ | ○ | ○ |
環境光センサー | ○ | ○ | ○ | ○ |
血中酸素トラッキング | ○ | ○ | ○ | ○ |
地図機能 | ー | ー | ○ | ー |
ランニング機能
Forerunnerシリーズでは、それまで別売りの「ランニングダイナミクスポッド」がなければ計測できなかった、「ランニングダイナミクス」と「ランニングパワー」の計測ができるようになりました。これにより、「ストライド幅」、「地面接地時間」、「上下動」、「上下動比」などがオプションなしで計測できるようになり、自身のランニングフォームを可視化し、改善点などを知ることができます。腕に付けているスマートウォッチだけでこれらが計測できるようになったのですから、革命的です。
それでも、GCTバランス(左右の接地バランス)は「ランニングダイナミクスポッド」がなければ計測できず、「Forerunner 165 Music」と「Venu 3」は対応しません。Forerunnerシリーズではない「Venu 3」はまだしも、Forerunnerシリーズの「Forerunner 165 Music」が対応していないのは疑問符がつきます。とはいえ、もしランニングのスピードを上げたいとか怪我をしづらいフォームにしたいのであれば、まず上下動を抑えて効率的な走りを求めるのが課題であり、それは結果的に左右の接地バランスを改善することに繋がると考えれば、エントリーモデルとして省き、価格を抑える方法として割り切ったのかもしれません。

Forerunner 165 Music | Forerunner 265 | Forerunner 965 | Venu 3 | |
ランプロフィール | ラン、トラックラン、 トレッドミル、 屋内トラック、 トレイルラン、 バーチャルラン、 ウルトララン | ランニング、トラックラン、トレッドミルラン、屋内トラックラン、トレイルラン、バーチャルラン、ウルトララン | ラン、トラックラン、 トレッドミル、屋内トラック、 トレイルラン、 バーチャルラン、 ウルトララン | ラン、 トレッドミル、 屋内トラック |
GPSベースの距離、タイム、ペース | ○ | ○ | ○ | ○ |
ランニングダイナミクス | ○ (ウォッチからの計測のみ) | ○ (ランニングダイナミクスポッド(別売)併用可) | ○ (ランニングダイナミクスポッド(別売)併用可) | ー |
上下動と上下動比 | ○ | ○ | ○ | ー |
GCT(接地時間)とGCTバランス | △(GCTバランス計測は非対応) | ○(GCTバランス計測は要互換アクセサリ) | ○(GCTバランス計測は要互換アクセサリ) | ー |
歩幅(リアルタイム) | ○ | ○ | ○ | ー |
ピッチ(リアルタイムの1分あたりの歩数) | ○ | ○ | ○ | ○ |
ランニングパワー | ○ | ○ | ○ | ー |
勾配調整されたペース | -(記述なし) | ○ | ○ | -(記述なし) |
乳酸閾値 | 不明(記述なし) | あり(要互換アクセサリ) | あり(要互換アクセサリ) | ー(記述なし) |
PaceProレース戦略 | ○ | ○ | ○ | ー(記述なし) |
ランワークアウト | ○ | ○ | ○ | ○ |
トレイルラン自動クライム | - | ○ | ○ | ー |
レース予想タイム | ○ | ○ | ○ | ー(記述なし) |
コースおよび天候別のレース予測 | ○ | ○ | ○ | ー(記述なし) |
フットポッド(販売終了) | ○ | ○ | ○ | ○ |
ラン/ウォーク/静止時間検出 | ○ | ○ | ○ | ○ |
トレーニング機能
ランニングに限らず、トレーニング全般の機能も比較してみました。字面だけでは何の用途か分からない機能も多いですが、Forerunnerシリーズは行ったワークアウトの効果を可視化できるのがメリットです。例えばワークアウト終了後に、自分が行ったトレーニングの有酸素効果と無酸素効果を数値で表示してくれるので、自分に足りないトレーニングを把握できます。また、ワークアウトを始める前に、どの位のペースでどの位続けるべきかといったメニューも表示してくれるので、単に走るだけというより効果的に走るということが可能となります。
とはいえ、ワークアウトの記録だけで良いなら、「Venu 3」でも十分だと思うところです。
Forerunner 165 Music | Forerunner 265 | Forerunner 965 | Venu 3 | |
心拍ゾーン | ○ | ○ | ○ | ○ |
心拍アラート | ○ | ○ | ○ | ○ |
心拍カロリー | ○ | ○ | ○ | ○ |
%Max | ○ | ○ | ○ | ○ |
%HRR | ○ | ○ | ○ | ー |
リカバリータイム | ○ | ○ | ○ | ○ |
自動最大心拍数 | ○ | ○ | ○ | ー |
モーニングレポート | ○ | ○ | ○ | ー |
レースウィジェット | ○ | ○ | ○ | ○ |
HRV ステータス | ○ | ○ | ○ | ○ |
心拍転送モード(ペアリングしたデバイスにANT+を介して心拍データを送信) | ○ | ○ | ○ | ○ |
呼吸数(アクティビティ中) | ヨガ、ブレスワークのみ | あり(要互換アクセサリ) | あり(要互換アクセサリ) | ヨガ、ブレスワーク、瞑想のみ |
GPS速度と距離 | ○ | ○ | ○ | ー |
データページのカスタマイズ | ○ | ○ | ○ | ○ |
カスタマイズできるアクティビティプロフィール | ○ | ○ | ○ | ○ |
インターバルトレーニング | ○ | ○ | ○ | ー |
改良されたインターバル(オープンリピート、インターバルデータページ、休憩画面、自動検知を含む) | - | ○ | ○ | ー |
ワークアウト | ○ | ○ | ○ | ○ |
ダウンロード可能なトレーニングプラン | ○ | ○ | ○ | ○ |
HRM-Proランニングペースと距離 | ○ | ○ | ○ | ○ |
自動ラップ | ○ | ○ | ○ | ○ |
手動ラップ | ○ | ○ | ○ | ○ |
休息タイマー | ○ | ○ | ○ | ー |
設定可能なラップアラート | ○ | ○ | ○ | ー |
暑熱と高度への適応 | ー | ー | ○ | ー |
VO2 Max (ラン) | ○ | ○ | ○ | ○ |
VO2 Max (トレイルラン) | ○ | ○ | ○ | ー |
リアルタイムスタミナ | ー | ー | ○ | ー |
トレーニングステータス | ー | ○ | ○ | ー |
トレーニング負荷 | ー | ○ | ○ | ー |
トレーニング負荷バランス | ー | ○ | ○ | ー |
トレーニング効果(有酸素) | ○ | ○ | ○ | ー |
トレーニング効果(無酸素) | ○ | ○ | ○ | ー |
ワークアウトのメリット | ○ | ○ | ○ | ○ |
改良されたリカバリータイム | ー | ○ | ○ | ー |
おすすめワークアウト | ○ | ○ | ○ | ー |
カスタムアラート | ー | ○ | ○ | ー |
オーディオアラート | ○ | ○ | ○ | ○ |
到着予想時間 | ○ | ○ | ○ | ー |
バーチャルパートナー | ー | ○ | ○ | ー |
レース | ー | ○ | ○ | ー |
自動マルチスポーツアクティビティ | ー | ○ | ○ | ー |
手動マルチスポーツ(アクティビティ中にスポーツを手動切り替え可能) | ー | ○ | ○ | ー |
コースガイド | ○ | ○ | ○ | ー |
Garmin ライブセグメント | ー | ー | ○ | ー |
Strava ライブセグメント | ー | ー | ○ | ー |
ラウンドトリップコース作成 | ー | ー | ○ | ー |
Trendline Popularity Routing(Garmin Connectのデータに基づく最適なルート検索) | ー | ー | ○ | ー |
タッチスクリーン/デバイスロック | ー | ○ | ○ | ー |
デバイスロック | ○ | ー | ー | ○ |
ショートカット | ー | ○ | ○ | ー |
自動スクロール | ー | ○ | ○ | ○ |
ウォッチのアクティビティ履歴 | ○ | ○ | ○ | ○ |
Physio TrueUp | ○ | ○ | ○ | ○ |
まとめ
もし、RUN用途でスマートウォッチが欲しいなら、「Venu 3」は除外されます。「Venu 3」は運動不足がちな人に運動を勧めたり、バランスの取れた生活を助言するなどの機能が重視されており、スポーツはそこそこ楽しみ健康維持をしていきたいという人への機種といえそうです。「Venu 3」にしかない機能として、 互換性のあるスマートフォンとペアリングすると、ウォッチから電話を発信、着信応答ができたり、スマートフォンの音声アシスタントを使用して、互換性のあるスマートホームデバイスの制御やテキストメッセージへの返信などが可能となるものがありますが、Apple Watchのようにウオッチ単体で通話ができる訳ではないので、今ひとつ物足りません。
運動をガッツリしたい、ランが楽しくなってきたのでより長距離を走りたいとかタイムアップを目指したいのであれば、Forerunnerシリーズのどれを選べば良いのでしょうか?私のオススメは「Forerunner 265」です。その理由は以下のとおりです。これらは、どれも後付けできない機能なので、「Forerunner 165」シリーズを購入した場合、買い直すしか方法がありません。
- ディスプレサイズが「Forerunner 165」より大きい
0.1インチの違いですが、一度に表示できる情報量は多いに越したことがありません。「Forerunner 965」は更に0.1インチ大きくなるのですが、「Forerunner 165 Music」と価格差が約2倍、「Forerunner 265」と比べても2万円以上の価格差があるのは大きいです。 - 内蔵メモリの容量が2倍の差
「Forerunner 165 Music」と比べると容量差が2倍です。これは単純にいって保存できる音楽の曲数が2倍違うということです。Garminでは、ウォッチフェイスを自分の好きなものに変えられ、登録できるウォッチフェイス数にも差が出ると考えられます。 - ランニングダイナミクスポッド(別売)への対応の差
「Forerunner 165」はランニングダイナミクス(別売)に対応しません。「Forerunner 165」で計測できる範囲でも十分参考になるといえますが、プラス1を求めようとすると不可能となってしまいます。ただ、乳酸閾値の計測に必要なハートレートセンサー「HRM-Pro Plus」の対応機種に「Forerunner 165」シリーズが出てくるので、拡張性が全くない訳ではありません。 - やはり稼働時間は長い方が良い
もし、充電できない状況に陥った場合、少しでも稼働時間が長い方が有利です。「Forerunner 265」以上であれば、GPSモードも自動で最適化してくれるので、お任せで大丈夫というのが安心材料です。とはいえ、Apple Watchのように毎日充電しなくても大丈夫なので、Forerunnerシリーズ同士で比較した場合です。
とはいえ、全部入りであればやはり「Forerunner 965」です。発売当初は売り切れでなかなか買えませんでしたが、発売から約1年が経過し、価格も多少こなれてきました。最新の価格と性能差で吟味し、自分にとって一番嬉しいモデルを選んでください。それが一番後悔がない結果となりますので。



